子育て改革のための共同親権プロジェクトは、共同通信2023年12月30日付け「DVで別れた元夫は、4歳の娘をなぜ道連れにしたのか 面会交流中の殺人、悲劇を無視して進む「親権」議論の危うさ」」の掲載を受けて、質問状を送付しました。
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本プロジェクトは、2021年までに共同親権に法制度の転換をすることを求める提言を行った、主に別居親の当事者の団体です。
2023年12月30日付け「DVで別れた元夫は、4歳の娘をなぜ道連れにしたのか 面会交流中の殺人、悲劇を無視して進む「親権」議論の危うさ」を拝読させて頂きました。率直な感想と致しまして、親権制度と無関係なDVを関連付けようとしていることや、オーストラリアの家族法改正について、読者を誤認させる極めて問題のある記事であると感じました。
2018年に5歳の女の子が実母と継父の児童虐待によって亡くなる前、「前のパパが良かった」と発言したことや、子ども家庭庁からの保護者とその交際相手による児童虐待のリスクを通達にて指摘していることなど、単独親権者とその交際相手・配偶者をもとにした児童虐待事案に一切触れられていないこと。2022年3月30日の参議院法務委員会において嘉田由紀子議員から古川法務大臣の質疑において「単独親権制度」の立法趣旨に配偶者からの暴力を抑止する効果は無いことが確認されていること。2023年2月に提出されたオーストラリア大使館からの家族法制見直しに関する意見では、共同親権の導入に対する歓迎のコメントがあること。こういった事実を意図的に掲載しないことは読者を誤認される行為です。
このため、単独親権制度の歴史的背景、海外からの実子誘拐に対する非難や、1994年に日本が批准した児童の権利条約との不整合について理解して頂いた上で、改めて貴社としての考えをお聞かせ頂きたいと存じます。
なお、誠に勝手ながら、回答の希望期限は2024年1月15日とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
記
質問1.貴社は、子育ては母親だけがすることが望ましいというお考えでしょうか。それは、未婚、婚姻中、離婚後で変わるでしょうか。変わるとすればその理由をお聞かせください。
質問2.連日のように報道され、子ども家庭庁から通達も発出されている、シングルマザーとその交際相手・配偶者による児童虐待はどう対応すれば防ぐことが出来るとお考えでしょうか。
質問3.協議離婚制度によってDV加害者が実力行使で単独親権者となり、被害者が親子交流を一切出来ないケースがありますが、貴社はこの問題をどのように解決することが望ましいとお考えでしょうか。
質問4.現在、日本は実子の連れ去りに対して諸外国から非難を受け、「日本は拉致国家だ」とまで言われておりますが、貴社は本問題に対してどのように解決を進め、諸外国に対してどのように対応することが望ましいとお考えでしょうか。
質問5.日本の現在の親権制度は、児童の権利条約7条、9条及び女子差別撤廃条約第16条を満たしていないと考えられますが、貴社はどのように対応することが望ましいとお考えでしょうか。
以上
参考)
◯令和4年4月18日 子家発0418第1号 厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課長
「児童虐待対応における保護者の交際相手等への調査及び指導等の徹底について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000930822.pdf
◯嘉田由紀子議員 2022年3月30日 参議院法務委員会で質問。「子ども虐待や配偶者からの暴力と離婚後の共同養育・共同親権の関係」について
https://kadayukiko.jp/archive/archive-16296/
◯オーストラリア大使館「家族法制の見直しに関する中間試案」に関する意見の提出
◆質問4
○2020/7/8 日本における子の連れ去りに関する欧州議会決議
https://www.moj.go.jp/content/001347789.pdf
○2023/10/21 テレビ朝日系列「池上彰のニュースそうだったのか!!2時間SP」
◆質問5
◯児童の権利条約
第7条
1 児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する。
第9条
1 締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。
◯女子差別撤廃条約
第16条
締約国は,婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし,特に,男女の平等を基礎として次のことを確保する。
(d) 子に関する事項についての親(婚姻をしているかいないかを問わない。)としての同一の権利及び責任。あらゆる場合において,子の利益は至上である。