子育て改革のための共同親権プロジェクトは、産経新聞2024年1月8日付け「転機迎える家族法制 「未来の子供に幸せな制度を」当事者の思い」の掲載を受けて、要望書を送付しました。

要望書>>

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親権制度要綱案の中身を正確に伝えることを求める要望書
〜改革偽装の法務省要綱案では親子が会えるようにはならない〜

本プロジェクトは、2021年までに共同親権に法制度の転換をすることを求める提言を行った、主に別居親の当事者の団体です。

2024年1月8日付け「転機迎える家族法制 「未来の子供に幸せな制度を」当事者の思い」を拝読させて頂きました。親子断絶の当事者の想いを取り上げた記事を取り上げて頂いたことにまず感謝申し上げます。

そのうえで、法制審議会家族法制部会の要綱案試案のポイントを挙げられていますが、事実との乖離があります。少なくとも2023円12月19日付の要綱案(案)及び2023年10月31日付の議事録を見ても親子断絶が解消されるような具体的な指摘はどこにもありません。要綱案(案)は、現在の裁判所運用を維持できるよう、うわべだけ法律をいじったものであり、国際問題になっている実子誘拐と親子断絶を抑制は出来ません。それにも関わらず、記事全体として親子断絶が解消に向かうような印象を与えることは読者に誤解を産むだけでなく、市民の利益を侵害することになります。

このため、今後の報道に置かれましては、法務省が主張する内容を報道するのではなく、実際の要綱案や法案の中身の検証を踏まえ報道することを要望します。なお、当団体は要綱案(案)の検証* もしておりますので、ご参考までにご確認いただけますと幸いです。

私たちとしては、本要綱案(案)に到底賛同出来るものではないと考えており、引き続き婚姻状態によらず男女平等の子育てが実現する法改正を求めていきます。

* https://youtu.be/FvdtMTXGMXA?si=4G9_7Rlmk_WakSrD

以上

 

別紙)

記事と2023円12月19日付の要綱案(案)及び2023年10月31日付の議事録の比較

1)記事「離婚後、父母双方が子供の親権を持つ「共同親権」が原則に

◯議事録 P.33

青竹幹事

「子の利益を害すると認められるときは、裁判所は一方を親権者と定めなければならないとされています。それ以外の場合は、結局一切の事情を考慮し一方か双方を定めるということになっています。原則と例外という内容にはなっていない、そのような理解が客観的

→ 法制審議会に参加される幹事からも原則と例外という内容にはなっていないと指摘がされています。

 

◯議事録 P.15

棚村委員

「つまり、話合いでできれば一番それがいいし、話合いがもしできないのであれば、何らかの形で、最終的には裁判所の調停だとか審判だとか裁判というような形で、こどものためにふさわしい在り方というのを決められる仕組みになっているというのが現行法ですし、今回の共同親権とか監護をめぐる問題でも、特別なルールにするというより、合意ができないときに現行の制度や仕組みを維持するとか、そういうルールを採用しているという前提で、その延長線上で認めるということなのだと思っています。」

→ 合意が出来なければ現行の制度の延長線上にある、つまり実子誘拐など子の居所指定で父母の意見相違があったとしても現状のまま何も変わらないということです。

 

◯要綱案(案)P.3-4

3 離婚後の子の監護に関する事項の定め等

⑵ 子の監護をすべき者が指定された場合における権利義務について、次のような規律を設けるものとする。

ア 民法第766条(同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定により定められた子の監護をすべき者は、同法第820条から第823条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。この場合において、子の監護をすべき者は、単独で、子の監護及び教育、居所の指定及び変更並びに営業の許可、その許可の取消し及びその制限をすることができる

→ 現状、子の監護をすべき者の認容要件は何も無く、家裁が実子誘拐を追認する判断をしています。そして、「子の監護者」が指定された場合は事実上の単独親権状態になっています。

要綱案(案)も現行運用を踏襲するよう、子の監護をすべき者の認容要件は何も無く、子の監護をすべき者が指定された場合は、実際の子育てについて全て単独で決定することが出来る規定となっています。現状の踏襲ですから、親子が会えるわけもありません。

 

 

2)記事「ドメスティックバイオレンスや虐待などがある場合は単独親権に」

◯要綱案(案)P.3

キ 裁判所は、上記イ、オ又はカの裁判において、父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならない。この場合において、次の①又は②のいずれかに該当するときその他の父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない。

① 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。

② 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(下記クにおいて「暴力等」という。)を受けるおそれの有無、上記ア、ウ又はエの協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。

→ “おそれ”があれば単独親権になると表現されています。つまり実際に虐待や暴力が無いにも関わらず、単独親権になる可能性があります。

 

 

3)記事「家庭裁判所が審判の過程で別居親と子供の面会を促せる制度を新設」

◯要綱案(案)P.3

ア 家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く。)において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる。

→ 記事記載のとおりではありますが、現状の法制度では裁判所で面会交流の合意をしても、同居親が様々な理由をつけて中止・短縮をしても、合意を遵守させるための十分なペナルティはありません。実際裁判所の審判を受けても、子どもと会えていないことが今回の記事中に記載されています。つまり、要綱案(案)をもとに法改正され、裁判所が子の面会を促したところで、片親が拒否してしまえば、親子断絶がいとも簡単に起こります。つまり、親子が会えるようにはなりません。