子育て改革のための共同親権プロジェクトは、2024年12月16日に学校における別居・離婚後の父母対応の実態及び共同親権制度への移行に伴う要望調査を受けた要望「親の婚姻状態によらず子どもが父と母のふたりから子育てされる教育環境を保障してください」を、文部科学省及びこども家庭庁に提出しました。

 

◯要望書
http://cdn.joint-custody.org/files/20241216-school-request.pdf

◯要望書の概念図
http://cdn.joint-custody.org/files/20241216-school-request-detail.pdf

私たちは別居・離婚により親子が引き離された体験を持つ親の団体で、政策提言を中心に活動をしています。この度、2024年7月28日から9月13日の期間、全国の教育機関に対してアンケート調査を実施しました。調査の目的は「学校における別居・離婚後の父母と子への対応の実態」と「共同親権制度への移行に対する学校側の要望」の把握です。対象は2,811件、回答数は188件、回答率は6.7%でした。

回答結果からは、教育機関における「単独親権制度」を前提とした親子への関わりがうかがえました。つまり学校にて、親の婚姻状態により子どもの親をひとりと勘違いして、子どもが親から引き離される「虐待」を見過ごしてしまい、親と子の人生と命が危機に晒される異常事態の放置が懸念されます。思い込みによって、教育機関側が父母や子への対応に疲弊して問題を重ねてしまい、教育に悪循環が起きている現状が回答から透けて見えました。

親子の引き離し問題にあるような、子を奪って父と母に不平等な地位を作り出し、子の片親を排除して問題に向き合わず、話し合いを拒否して解を探求しない姿勢は、問題を山積させて複雑にしていきます。社会において問題に直面した場合、互いを尊重し平等を維持しながら、必要に応じて他者の支援を仰ぎ入れ、対話によって社会を創造する、合意形成という問題を解決する力が必要です。

日本社会の構成人財を育成・排出する学校が、民主主義に根差した教育を子どもたちへ施す土台となる「親子」のあり方を社会に醸成すべく、私たちは次のことを求めます。

 

要望

1.婚姻状態によらず父と母が子育てを担う親である周知を教育機関にしてください

親権者の役割をまずは理解して、新民法の施行を待たずとも現行法下にて、裁判所のように父と母のどちらかに優劣をつける権限が学校に無い事実を把握して、親権者指定によらずとも父母を対等に扱うという原則を認識するための周知をすること。

1-1.親権者の役割を明確にして書式を統一してください

親権者と非親権者の法的な違いである「子の重要事項に関する意思決定権限」となる進学や転校に際しては、入学願書等に2名の(保護者ではなく)親権者欄を設け、両親権者の同意を必須要件とすること。

1-2.2名以上の保護者の管理を教育機関で統一してください

義務教育の原簿である学齢簿の保護者欄を2枠以上設定し、保護者登録票、家庭状況調査票などの学校が家庭に提出を求める各種書類について、親権者に加えて親権を有しない実父母の情報も必須記載事項とすること。

2.親子の引き離しが子どもへの虐待である周知を教育機関にしてください

親子の引き離しが児童虐待である事実と、協議離婚制度により別段の問題がない親でも親権を失う事実を念頭に据え、DVや虐待などで親子の接近を避けるべき危険性がある場合は、まず警察への通報及び指示に従い、子どもの人生と命を奪う児童虐待への幇助と、親の人生と命を奪う精神的暴力に留意するための周知をすること。

3.子ども及び親子の支援先を明確にして学校の負担を減らしてください

父母の問題には介入せず、子どもの抱える問題には積極的に介入できる支援の窓口として学校が機能するよう、メディエーションや親子関係の維持を施せる支援先の明示または設置を進めること。

4.自治体と共に自治体の規模に適したガイドラインを策定してください

学校に負担を強いないために、先進事例のある自治体(例 大阪府大東市)や民間組織と意見交換をすること。